親も自分も年齢を重ねると、より現実的な問題として浮かびあがってくる介護。年齢問わず、身近な人のケガや病気で突如必要になることもあります。そこで気をつけたいのが、介護疲れです。そうならないように今からできる対策、介護疲れを軽減できる対処法についても解説していきます。
誰にでも起こり得る「介護疲れ」
介護によって様々な不調を引き起こす介護疲れ。単に身体的な疲労だけではありません。蓄積することで、介護うつ、介護離職など、精神的なストレスによる問題にも発展しかねません。「体力があるから大丈夫」「ある程度覚悟しているから」と思っていても、いざ始まってみるとその大変さや日々の生活への影響が思った以上で、頑張ってしまう人ほど知らないうちに介護疲れに陥ってしまうものなのです。
介護疲れになる理由
なぜ介護疲れに陥ってしまうのか?その理由には介護ならではの特性があります。
理由①体力や筋力がない&弱い
赤ちゃんのお世話とは違って、介護する相手はたいてい大人。自分よりも体格が大きい場合もあり、さらに自力ではできない部分をサポートするので、相当な力仕事です。そこで、そもそも介護する側である自分の体力や筋力が少なかったり弱かったりすると、身体への疲労や負担は想像以上。身体を痛め、最悪の場合、疲労骨折(圧迫骨折)になることもあります。
理由②急に始まってしまう
特にケガや病気の場合、ある日突然、介護がスタートしてしまいます。そのため、知識や情報を集めるだけでも、ひと苦労。場合によっては、仕事や生活スタイルを変えなくてはならず、大きなストレスになります。さらに、急なことで思いがけない家族間トラブルが発生する、介護の悩みを話せる人が周りにいないなど、今までなかった問題や心配事が増えるからです。
理由③イメージのギャップ
介護は、想像と現実があまりにも違って大変であること。加えて、介護される本人はもちろん、介護する側も「何でもできていた昔」と「現状」にギャップを感じるもの。頭でわかっていても、どう受け止めていいか、どう乗り越えていけばいいのかわからず、精神的に辛くなるのです。
理由④終わりが見えない
介護にはゴールがありません。始まった当初は意気込んでいても「これがいつまで続くのか」といった絶望感や虚無感が生まれてきます。また、問題が次々出てきて、その点でも終わりが見えなくなってしまうのです。
介護疲れのケアは「心、身体、お金」
介護疲れにならないためには、「心、身体、お金」この3つのポイントを準備、ケアしていくことが大切です。
心理的なケア
介護中は、介護者とだけ過ごす時間が増え、社会との繋がりが薄く、孤独を感じやすくなります。一方で、介護は、家族や親戚、介護に関わる専門家など、周りとの人間関係がストレスになるケースも多く見られます。国や自治体のサービスや補助、民間の窓口なども積極的に利用して、何よりも独りで抱え込まないことが大切です。
身体的なケア
介護に携わる方の職業病としてあがるのが、腰痛やひざ痛。食事や着替え、移動やトイレ、体位の交換などさまざまなシーンで、立ったり座ったり、背中や腰をかがめた姿勢など無理な体勢を1日の中で何度も取らなければならず、腰や膝などに大きな負担がかかります。自分の身体を支える骨や筋力の健康対策を、今から取り組むことが不可欠です。
経済的なケア
介護度が高くなると、介護する側が仕事との両立が難しくなり、離職せざるを得ないことがあります。介護費用に関しても、誰がどう負担するのか、経済面の問題も深刻なものです。今後のために、万が一に備えて少しずつでも貯金を始める、あるいは保険の加入を検討するなど、費用について話し合っておき、利用できる給付金や手当などの情報を集めておきましょう。
骨や筋肉を強くして、介護に負けない心身づくり
介護の資本となる身体を支えるのが骨や筋力。骨や筋肉は1日でできるものではないので、今日からでも少しずつ、日々積み重ねていくことが大事です。
【「身体をつくる」栄養を積極的に】
筋肉のもととなるたんぱく質、骨の健康につながるカルシウムが多く含まれる食品を積極的に摂りましょう。精神的な疲労回復にも効果が期待できます。
【十分な睡眠を取る】
疲労回復には睡眠が不可欠。睡眠中は、成長ホルモンが分泌され、身体のさまざまなダメージを修復し、ストレスケア、筋肉や骨の成長などに役立ちます。
【外出して、発散する】
外出する=身体を動かすので、それだけでも運動です。外の空気を吸う、日光を浴びることは、気分転換、筋肉や骨の成長にも効果的です。
なってしまう前の対策が大事
介護疲れは、自分ではなかなか気づけないもの。だからこそ、なってしまう前に原因と対策を知って、日頃から、疲れを溜めない身体づくりをしたり、ストレス発散・対処のために心にゆとりを持って過ごすことが必要ですね。