成長期の子どもに不足しがちな栄養素とは?新型栄養失調についても解説

妊娠・子育て
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子どもが野菜を食べてくれない、他の子より体が小さいなど、子どもの栄養不足が心配な人は多いでしょう。
今どきの食生活では、特定の栄養素が不足して起こる「新型栄養失調」のリスクが高いともいわれます。
子どもの新型栄養失調を防ぐために、成長期はどんな栄養素が不足しやすいか、きちんと知っておくことが大切です。

新型栄養失調とは?

エネルギー(カロリー)は足りているのに、ある特定の栄養素が不足することで引き起こされる栄養欠乏症状を「新型栄養失調」と呼びます。
好き嫌いやダイエットなどで偏った食事を続けていると、「疲れやすい」「風邪をひきやすい」「体が冷える」「肩がこる」「便通が悪い」といった症状が現れる場合があります。
従来は食が細くなった高齢者に多く見られましたが、近頃は痩せ願望が強い女性や忙しいビジネスマン、成長期の子どもにも増えているそうです。

成長期に不足しやすい栄養素

多くの栄養素は、思春期(11~18歳頃)に最も必要量が増えます。特に鉄分とカルシウムは、成人よりも2~3割ほど多く摂らなければなりません。つまり、小学校高学年になると、お母さんと同じ量の食事では足りていない可能性があるのです。

国民健康・栄養調査によると、ビタミンAとビタミンDの摂取量は、概ね不足しないと考えられる量を大きく下回っています。ビタミンAは緑黄色野菜やレバー、うなぎなどに含まれる栄養素です。ビタミンDは魚や干したきのこに含まれています。

また、成長に伴ってエネルギー消費量が増えるため、エネルギー源となる三大栄養素だけでなく、エネルギーをつくるときに使われるビタミンB群の必要量が増えます。野菜嫌いの子どもではビタミン全般に加え、食物繊維やミネラルも不足しやすくなります。

新型栄養失調の症状

新型栄養失調の症状は足りない栄養素によって異なります。不足しやすい栄養素と主な症状は以下の通りです。

【鉄分】
赤血球が作れないため、貧血になります。貧血では、少し動いただけで息切れしたり、立ちくらみやめまいなどが起こります。

【カルシウム・ビタミンD】
カルシウムは骨の材料となりますが、ビタミンDの助けがないと吸収されにくい栄養素です。カルシウムを十分に摂っていても、ビタミンDが足りないと丈夫な骨が育ちません。

【ビタミンA】
ビタミンAの欠乏症として夜盲症(いわゆる鳥目)が知られていますが、子どもでは成長障害や骨・神経系の発達抑制もみられます。

【ビタミンB群】
三大栄養素をエネルギーに変えて使うことができないため、疲れやすくなります。エネルギーとして使われなかった糖質や脂質は脂肪として蓄えられるため、太りやすくなります。

【食物繊維】
大人と同様に便通が悪くなります。また、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病の発症リスクが高まります。

新型栄養失調を防ぐには

毎日お腹いっぱい食べていても、新型栄養失調にならないとは限りません。子どもの様子をよく観察し、食生活では以下を心がけましょう。

【1日3食しっかり食べる】

朝食欠食は栄養素が不足する最大の原因です。朝ごはんを毎日食べている人のほうが、栄養バランスが良いことが分かっています。

【おやつで不足しがちな栄養素を補う】

子どものおやつには、カルシウムを補える牛乳・チーズ・ヨーグルト・小魚のほか、食物繊維とミネラルが摂れる玄米のおにぎり、ビタミンの多いフルーツがおすすめ。市販のお菓子にもカルシウムや鉄分が強化されたものがあるので、活用してみてはいかがでしょうか。

【主食・主菜・副菜を揃える】

食品に含まれる栄養素を考えながら食事の準備をするのは簡単ではありません。けれども、ごはんとみそ汁を軸にして、肉・魚・卵・大豆のおかずと、野菜のおかずを揃えるようにすれば、大体の栄養素が摂れます。
理想は一汁三菜ですが、毎食は難しいかもしれません。1品料理でも、色とりどりの食材を使うことで栄養バランスが整いやすくなります。

まとめ

偏食や小食は新型栄養失調の原因のひとつ。思春期になると体型が気になってダイエットをする子もいますが、健康や発育に影響する恐れがあります。食事のときに栄養の話をするなど、家庭での食育も重要です。

【あわせて読みたい】成長期の子どもにとって大事な「骨づくり」とは?

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文責:上辻 知津子(うえつじ ちづこ)

文責:上辻 知津子(うえつじ ちづこ)

管理栄養士・食育インストラクター 2000年からライター・編集者としてメディア制作に従事。業務を通じて食と健康に興味を持ち、2017年に管理栄養士資格を取得。現在は人間栄養学に基づいた健康記事の執筆活動を中心に、健康相談業務にも携わる。

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